諭農の碑(ゆのうのひ)

板屋(いたや)の国道294(旧奥州街道)の坂の途中西側に建っている。嘉永元年(1848)4月建立で、撰文は芦野の戸村忠熙恕(とむらただひろ)によるものである。碑は芦野石で高さ170㎝・幅は80㎝ほどの板状で、正面に磨いた面に字を彫りこんでいる。

碑に刻まれている文字は、全文約700字からなっている。碑文の主な内容は農民に農耕上の指導を具体的に述べている。病虫害の駆除から予防、米の保存法、饑饉(ききん)に備えての貯米・貯穀、饑饉の時の食物栽培、食物の製法、ひもじい人への看護と食事の与え方にまで及んでいる。

「べこ石」の碑文が、人間の生き方の基本的な事柄を教えているのに比べて、この碑文は主として農業上の技術面について論じていて、農民にとっては実生活に役立つ内容になっている。

幕末における農業の様子と農業指導のあり方を知る上で貴重な碑といえる。また、この碑の建立にあたっては地元、板屋の人々の強い願いのあったことが碑文の一部からわかる。

名   称 諭農の碑(ゆのうのひ)
所 在 地 那須町大字横岡589-1
種   別 有形文化財/書跡
指   定
指定年月日 昭和47年7月15日