篠細工

那須町の生活用品には自然の恩恵を受けたものが多い。竹木やアケビ、藤などの蔓類などが生活と密着した家庭用品となっているが、那須町のように高低差がある地形では、地域によりその材料が異なっている。その一つに「篠細工」がある。那須岳の噴火により形成された山麓は高地にあり、水田はごく限られた地域にのみであり、多くの耕地は畑作である。

このような地域に自生する篠竹は、細工の容易な原料として生活に利用されたものであろう。

篠竹にも適否があるようで、肥沃な土地のものは質が固く、林の中のものは節が折れ易い。土地の痩せた土地で寒さの厳しい土地柄のものが最適とされ、更に密生しているものは節が短く背丈が伸び、質が軟らかく、光沢があり、細工しやすいところから町の中でも国道4号線以西の那須岳の据野に生えている篠竹が珍重されている。

県道那須西郷線沿線で生産されている篠細工は、このような条件下で伝承されてきたものである。

製品には、一升ザル、三升ザル、味噌漉しザル、メカイ、ハケゴなどがあり、きめ細かさと素朴なデザインは、現在に伝えられてきた民俗であろう。製作者の高齢化や後継者不足などの問題を抱えてがいるが、後世に残していきたい町の伝統工芸品の一つである。

名   称 篠細工
所 在 地 那須町内
種   別 無形民族文化財
指   定
指定年月日