ハッケトンヤ縄文式遺跡および舟戸古墳群(ハッケトンヤじょうもんしきいせきおよびふなどこふんぐん)

ハッケトンヤ遺跡は、余笹(よささ)川と那珂(なか)川の合流点内側に位置し、丘陵の突端部で現在の黒川発電所の崖上のあたりにある。ハッケトンヤとは地名で、急な崖の上の小屋を意味する古語であるという。

この遺跡は、縄文時代中期(約5000年前)以降の代表的遺跡であり、大正時代、県道の改修や黒川発電所の開設工事で多くの遺物が出土し、一躍有名になった。面積は約30aである。

この遺跡からは、打製石斧(だせいせきふ)、磨製石斧(ませいせきふ)、石鏃(せきぞく)、石皿(いしさら)、土器片等多数発見され、加曽利(かそり)EⅡ式と同Ⅲ式のものが多くみられる。ここは平地からの高さが20mあり日当たりもよく、また那珂川と余笹川に挟まれ、狩猟、魚撈のための自然条件がたいへんよい場所である。平成17年7月、国道トンネル工事で遺跡の一部が掛かるため発掘調査が行われ、住居跡・土器・落とし穴等が発見されている。

このハッケトンヤ遺跡の下方平地の那珂川の河岸段丘上に舟戸古墳群がある。主墳の前方後円墳が一つと円墳が二つある。最近になって、県道北側の林の中に、これらよりもやや小型の円墳が二つ、新たに確認されている。

前方後円墳は、帆立貝式(ほたてがいしき)と呼ばれるもので、前方部が通常のものより短い。全長は約10mあり、高さは約3mある。石室は那珂川の安山岩を利用して造られた横穴式石室である。いくつかある円墳は、主憤より小振りであるが規模からみてこの地方の小豪族のものと思われる。被葬者やそれらの人々の居住地については不明である。

那珂川水系に多い古墳群のうち最北端のものである、関東最北端の古墳群である。

名   称 ハッケトンヤ縄文式遺跡および舟戸古墳群(ハッケトンヤじょうもんしきいせきおよびふなどこふんぐん)
所 在 地 那須町大字稲沢8他
種   別 記念物/史跡
指   定
指定年月日 昭和35年10月15日