大沢の獅子舞

元和2年(1616)の大阪夏の陣のあと、大阪方の落人二人が火鑓付(現大沢)に土着した。この二人は獅子舞をよくし、やがてこれを村人に教え伝えられたという。那須温泉神社には享保3年(1718)舞が奉納された記録が残されており、以後那須温泉神社との結びつきがみられる。昔からの口伝による「若居衆規定」によって管理伝習され、禁欲的内容も含まれており、若居衆かしらの統率など厳格なものである。以前は本戸25戸で伝承してきたが、現在40戸を2班に分け獅子舞も交代で行われている。

獅子舞は、6月15日の天王祭、9月1、2日の嵐よけ(鎮守様・大山祗神社)、9月19日の秋祭り(大山祗神社)、10月9日の那須温泉神社の例祭に奉納される。獅子頭は、竜頭のもので、先獅子、中獅子の牡面が2面、牝面が1面ある。舞の構成は獅子3人と笛1~2人、唄1~2人、山(花笠)4人でおよそ9~12人である。

若居衆が公民館(以前は獅子宿)に集まり、お清めしてから笛、3匹の獅子、山(花笠)の順で渡り拍子を奏し神社へ向かう。社殿には、神主、総代なども集まりご馳走があって獅子舞の到着を待つ。神社石段下で、支度をととのえ獅子、笛、唄、山(花笠)と共に社殿前にかけこみ舞に入る。舞の種類は、「前庭」「後庭」「舞こみ」や年に1回9月19日の秋祭り(舞じまい)に公民館(以前は獅子宿)へ帰ってきてからその庭で舞う「岡崎の舞」などである。また9月1、2日の嵐よけには、社殿の前に青竹に酒を入れ杉葉の栓をした「さか林」を立て舞をする。舞が終わると装束を解いた舞手その他の若居衆は、社殿に拝礼、左右の石祠、大黒天に合掌し帰り拍子を奏し鳥居の外へ出る。昔那須温泉神社の例祭には、獅子舞の支度をして白川道を歩いてゆき、東公園付近より笛、太鼓を鳴らし下りていく。今年も獅子が来たと湯本の人が歓迎してくれたという。

名   称 大沢の獅子舞
所 在 地 那須町大字高久丙(大沢)
種   別 無形民族文化財
指   定
指定年月日 昭和36年10月1日