時庭の神楽

安政2年(1855)正月古峰神社参拝の折、宇都宮の道具屋に立ち寄り探り一時戻り有志相談の上一両二分で求める。また口碑として、伊勢参りの帰途宇都宮にて三両二分で買い求めたともある。獅子舞一切を会津木挽職より習得することがおこりと伝えられている。一方に茅手(かやで)説がある。農家の茅屋根葺替は、主に農閑期に会津地方の茅手職人により泊まり込みで行われた。仕事の合間に地元の若者に伝承されたという。一時中断されたが、現在集落の18戸の35歳(以前は30歳)までの長男(現在は次男も認める)により伝承されている。

この神楽は、火伏せの神様で、2月24日に行われる。道具は長持ち様のかぐら堂(お堂)に入れられ宿に保存されている。以前にはこのかぐら堂に2つの太鼓(おおど、こどう)をとりつけ、2人で担ぎ1人で太鼓を叩いて廻ったという。1月16日に前年の宿から、神楽一式を新しい宿へ「宿かえ」をする。そこから神楽一式を公民館へ移し、一カ月くらい練習をする。

当日、公民館で支度をして先ず宿で悪魔払いを行い、愛宕さまに神楽舞を奉納し、ついで集落内各戸へ門付けに出かける。舞の構成は、獅子2人、笛1~3人、太鼓(おおど)1人、三味線1人、鉦1人である。悪魔払いは、獅子頭、後かぶりの2人で舞い途中から1人舞になり、手に幣束、さんぎりを持ち舞う。お客さんより花があると花笠踊りも行う。最後に宿で神楽とヒョットコ舞を行う。昭和34、5年(1959,1960)頃までは宿で夜遅くまで、さんよそう、とうりさし(芝居)、オカメとかんさん(漫才)、あほうまい(おほうな旦那とあほうのやり取りの芝居)、花笠踊り、神楽とヒョットコ踊りを披露した。また下余笹橋開通式には、長獅子と言って、悪魔払いと四方かため、幣束踊り、さんぎり踊り、ヒョットコ踊りを披露したと伝えられている。近年は、田中小学校の祝事、町文化祭等で舞を奉納披露している。

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名   称 時庭の神楽
所 在 地 那須町大字寺子乙(時庭)
種   別 無形民族文化財
指   定
指定年月日 平成17年4月25日