峯岸熊野講餅搗き

明治生まれの人が、子供の時分からとかずぅっと前からやっていたという。年代の詳細は不明だが、当地区の熊野信仰は、峯岸熊野神社に奉納された鰐口の銘記(寛永年代)によると古くから信仰していたことが分かる。熊野神社(山形県南陽市宮内熊野大社)参詣の講を立て代参参詣するとき餅を奉納したことに始まると伝えられている。

この餅つきは、千本杵餅つきで、準備から餡子(あんこ)、餅搗(もちつ)きまで女性の手出しは禁じられ一切男性が行うことになっている。またその年にお産があった家の男性は参加できない。当番(男宿)の女性でも見ることもできないとされた。杵(きね)はそれぞれ自分の山からその年の新しい木(くり、なら)を伐って16本作る。長さ約1、8m、直径4~5㎝、下のほう60㎝位皮を剥ぐ。以前には、当番(男宿)へ男性1人糯米(もちこめ)5合、女性2号5勺を持ちおるとされた。

かまどの周りに注連縄(しめなわ)を飾り、男性は神主のお払いを受ける。子供は宿に泊まり、早朝米が吹き上がったことを各家に知らせに行く。その知らせを聞いて男性が集まり搗きはじめ、餅搗き唄で調子をとり、数人で搗きあげ日の出には終わる。最後の一臼はどうずき餅といって杵の先に餅を付け支えなだら掛け声をかけ女性宿へ運び神棚前の掛け軸に付けるようにしてお供えする。つきたての餅は、桶に入れられ水切り餅として、男宿、女宿に運ばれ手でちぎり塩味の餡子餅をお椀によそってもらい食する。重箱に入れ親戚に配った。終わりに子供らが餅、杵、注連縄を熊野神社へ奉納し、集落の繁栄、無病息災、五穀豊穣を祈願したという。

現在は地区公民館で2名の当番を決め、朝6時ごろから男性、女性合同におり千本杵で餅つきを行う。甘い餡子餅、納豆餅、大根おろし餅が作られる。午後3時より精進あげにはカブ汁(具は、カブ、豆腐、さば水煮など)を食す。近年町民公民館等の行事に参加披露している。以前は横岡熊野講餅搗保存会として板屋、高瀬もあったが現在は中止されている。

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名   称 峯岸熊野講餅搗き
所 在 地 那須町大字横岡(峯岸)
種   別 無形民族文化財
指   定
指定年月日