無形民俗文化財
千本杵餅搗き
義経の馬「大夫黒」の足の怪我が、仮屋の判官清水で冷やしても治らない。伊王野城山の馬頭観音に壇を設け常陸坊海存により七日七夜の祈願により治癒した。義経がお礼に堂宇を建てさせた。このとき里人が米を出し合って餅をついて祝いしたのが始まりと伝えられている。
構成は、上町、下町より2年に1度の集会で推薦された男性各15人合わせて30人により伝承される。餅つきは、4月の第3日曜日さくらまつりに合わせ伊王野城山の馬頭観音堂の広場で行う。堂宇の周囲に垂れ幕を張り巡らせる。この幕は、渋井鉄華により地元奉納者名と馬が描かれている。杵は、長さ約1.5m、直径4~5㎝の雑木で全部皮を剥ぐ。
餅つき唄で調子をとり、7~8本の杵で搗き、仕上げに普通の杵を使う。当日は、上町、下町から14~15人の手伝いをもらい賑やかに行われ、訪れた皆さんにも振舞われる。現在は、東山道伊王野道の駅さつき祭等の行事に参加披露し伝承に努めている。
梓の笠踊り
いつの時代に発足したか詳細は不明である。戦争中伊王野小学校に兵隊が駐留していた時、伊王野クラブにおいて兵隊の慰問で笠踊りを披露した。また終戦後中学校卒業した年に90歳の祖父より教わったという人もいる。現在梓と一部簑沢の人により伝承され、現在女性の踊り手は、4代目若菜会があたっている。
構成は、太鼓(歌い手)1人、竹(小太鼓の代わり)4人、鉦1人、笛1人と踊り手7人である。男性は、はちまき、はんてん姿にたすき掛、女性は、はちまきにピンクのお腰と緋の長襦袢にたすき掛けと手作りの笠を持ちり華やかに踊る。美野沢小学校落成式、地区の敬老会、JAまつり等の祝事に披露している。
那須町の民話
那須町には、数多くの民話が残されている。地域の特長を活かした話であり、「地名」や「教訓」を語るものもある。「那須の昔ばなし」や町誌に所収されているので一度お読みください。
那須山麓周辺のはなし
| 1 | 殺生石 | 湯本 |
| 2 | 教伝地獄 | 湯本 |
| 3 | 鹿と温泉のものがたり | 湯本 |
| 4 | デキ穴 | 湯本 |
| 5 | 喰初仏 | 湯本 |
| 6 | 雨乞石 | 湯本 |
| 7 | 那須与一の矢場 | 奥那須 |
| 8 | かなつぼ石 | 奥那須 |
| 9 | 雪おんな | 奥那須 |
| 10 | 那須高湯山大権現 | 奥那須 |
| 11 | 鏡が沼 | 奥那須 |
| 12 | 木地の里 | 北沢 |
| 13 | 火鑓村 | 大沢 |
| 14 | 天稲荷 | 大沢 |
| 15 | 十三人の墓 | 大谷 |
| 16 | 犬子石 | 萩久保・北沢 |
| 17 | 飛跳の名人 | 深堀 |
| 18 | 玄蕃塚 | 小深堀 |
| 19 | 荒沢の不動尊 | 一ツ樅 |
| 20 | 樅の木の由来 | 一ツ樅 |
| 21 | 平家の落人 | 北條 |
| 22 | 長南寺 | 長南寺 |
| 23 | 鞍掛石 | 大同 |
| 24 | 椿坂の弧退治 | 室の井 |
| 25 | 半俵観音 | 下半俵 |
| 26 | 馬廻塚馬頭観音 | 下半俵 |
| 27 | 義経と弁慶のかくれ岩屋 | 阿久戸 |
| 28 | 鳥石 | 松子 |
| 29 | 高久村鎮守と吉凶 | 高久本郷 |
| 30 | 瀬縫不動と七滝不動尊 | 上瀬縫 |
| 31 | 与一の腰掛松 | 筒地 |
| 32 | 芋観音 | 菱喰内 |
| 33 | 主水橋とかねまき畑 | 弓楽・菱喰内 |
| 34 | ときわの桜 | 時庭 |
| 35 | うまやむくぼ | 前久保 |
| 36 | ほうそう神 | 小島 |
| 37 | 五月九日のお休日 | 大島 |
| 38 | 長者屋敷と仏法僧 | 漆塚 |
| 39 | 漆塚周辺の伝説 | 漆塚 |
| 40 | 熊野神社の効験 | 漆塚落合 |
| 41 | 仏物山 | 戸能 |
| 42 | 玄蕃屋敷と墓 | 逃室 |
| 43 | 滝不動尊 | 逃室 |
| 44 | 逃室移住談 | 逃室 |
| 45 | 弁慶墓 | 逃室 |
| 46 | 右京の桜 | 針生 |
| 47 | 新田氏と平山家紋 | 針生 |
| 48 | 義経の足駄石 | 針生 |
| 49 | 異見九尾の狐 | 夕狩 |
| 50 | 火除けの木 | 柏沼 |
| 51 | 成沢の作物忌み | 成沢 |
| 52 | 追田原のはじまり | 追田原 |
| 53 | 釜沢の大蛇 | 追田原 |
| 54 | 弥次郎の淵 | 弥次郎 |
| 55 | 矢の目の十三軒 | 矢の目 |
| 56 | 戦村 | 水原 |
| 57 | 二本杉 | 本町 |
| 58 | 寺子のほろ | 上の原 |
| 59 | 坊主はたけ | 上川 |
| 60 | 虚空蔵さまの力石 | 上川 |
| 61 | 雷神の撥 | 上川 |

芦野周辺のはなし
| 62 | 明星水 | 下芦野 |
| 63 | 見ると目のつぶれる話 | 唐木田 |
| 64 | 夫婦石 | 夫婦石 |
| 65 | ばんや坂 | 黒川 |
| 66 | 館山の白ヘビ | 西坂 |
| 67 | しょうげん沢のヘビ | 西坂 |
| 68 | 八畳岩 | 西坂 |
| 69 | 七変化のへび | 西坂 |
| 70 | 筆立て葦(片葉葭) | 西坂大峯坂下 |
| 71 | 太閤台 | 西坂 |
| 72 | 天狗党異聞 | 河原町 |
| 73 | 太閤清水 | 仲町 |
| 74 | 兼栽の松 | 横町 |
| 75 | 遊行柳 | 新町 |
| 76 | 鏡山 | 新町 |
| 77 | おかばみ沢 | 新町 |
| 78 | 虚空蔵菩薩 | 高瀬 |
| 79 | 十二塚(十四塚か) | 高瀬 |
| 80 | おおにゅうどう | 寄居 |
| 81 | 異聞大入道 | 寄居 |
| 82 | 初花清水とふくべ石 | 山中大久保 |
| 83 | 明神のまき餅 | 明神 |
| 84 | からいも | 大平 |
| 85 | 義経伝説 追分明神 | 大畑 |
| 86 | 月夜見山 | 大畑 |
| 87 | 具足岩 | 大畑 |
| 88 | 五両沢 | 大畑 |
| 89 | 矢の根石 | 大畑 |
| 90 | 沓石 | 大畑 |
| 91 | 大畑 | 大畑 |
| 92 | 滝の宮神社 | 簑沢 |
| 93 | おんべし | 簑沢 |
| 94 | 判官清水 | 上郷 |
| 95 | 馬頭観音堂 | 伊王野下町 |
| 96 | 弁慶石 | 睦家仮屋 |
| 97 | しのが池 | 稲沢沓掛 |
| 98 | かめい坂 | 稲沢沓掛 |
| 99 | 竜洞不動尊 | 大畑 |
| 100 | 追分明神と大畑熊野さま | 大畑 |
| 101 | 乙次郎の墓 | 簑沢 |
| 102 | 猫おどり | 簑沢 |
| 103 | 徳一法師と釈迦堂山 | 東岩崎 |
| 104 | 田の中の五輪塔 | 東岩崎 |
| 105 | 内神諏訪明神縁起 | 梁瀬 |
| 106 | てんぐさま | 梓 |
| 107 | 男釜女釜と竜神のはなし | 大和須 |
| 108 | うばすて伝説 | 上郷 |
| 109 | しょうでんばら | 伊王野沼野原 |
| 110 | 天狗の火伏せ | 伊王野上町 |
| 111 | お里の桜 | 伊王野下町 |
| 112 | 北向地蔵 | 伊王野巻渕 |
| 113 | 梵天田 | 沼野井 |
| 114 | ゆうじが池 | 沼野井 |
| 115 | 経読み崖のカッパ | 沼野井 |
| 116 | 移り住むお薬師さま | 沼野井根柄 |
| 117 | ナンイモじいとバシドコロ | 稲沢沓掛 |

篠細工
那須町の生活用品には自然の恩恵を受けたものが多い。竹木やアケビ、藤などの蔓類などが生活と密着した家庭用品となっているが、那須町のように高低差がある地形では、地域によりその材料が異なっている。その一つに「篠細工」がある。那須岳の噴火により形成された山麓は高地にあり、水田はごく限られた地域にのみであり、多くの耕地は畑作である。
このような地域に自生する篠竹は、細工の容易な原料として生活に利用されたものであろう。
篠竹にも適否があるようで、肥沃な土地のものは質が固く、林の中のものは節が折れ易い。土地の痩せた土地で寒さの厳しい土地柄のものが最適とされ、更に密生しているものは節が短く背丈が伸び、質が軟らかく、光沢があり、細工しやすいところから町の中でも国道4号線以西の那須岳の据野に生えている篠竹が珍重されている。
県道那須西郷線沿線で生産されている篠細工は、このような条件下で伝承されてきたものである。
製品には、一升ザル、三升ザル、味噌漉しザル、メカイ、ハケゴなどがあり、きめ細かさと素朴なデザインは、現在に伝えられてきた民俗であろう。製作者の高齢化や後継者不足などの問題を抱えてがいるが、後世に残していきたい町の伝統工芸品の一つである。
