記念物/天然記念物

湯本温泉源

殺生石(せっしょうせき)の南約100mの地点、湯川にそったところが温泉源となっている。

那須七湯(元湯・大丸・北・弁天・高雄・三斗小屋・板室)の中で一番古く発見され、「元湯(もとゆ)」または、「鹿(しか)の湯(ゆ)」とも呼ばれている。

伝説では、舒明天皇の頃(629年)那須山麓茗荷沢(みょうがさわ)の住人、狩野三郎行廣(かりのさぶろうゆきひろ)が狩に出て、大きな白鹿を射て傷つけ追跡した。そして茶臼獄の麓の谷あいに、矢傷を負った白鹿が湧き出る温泉に浴しているのを見つけた。これが温泉発見の初めという。

駿河国正税帳(すがるのくにしょうぜいちょう)(738年)には那須温泉の名が出てくるので奈良時代にはすでに有名になっていた。現在の那須温泉郷の発祥地であり、天然記念物として指定されている。

湯治客相手の温泉場は、江戸時代までこの温泉源から湯川沿いに開けていたが、安政5年(1858)6月14日の大雨による山崩れでこの周辺一帯は、大災害を蒙った。このため、温泉街は高台の現在地に移った。

明治時代に旭温泉が開設され、大正時代以降も新那須・八幡・飯盛・郭公の各温泉を加え、那須十一湯と称されるようになった。戦後は、ボーリング技術も進んで、現在ではその温泉数も飛躍的に増え、全国からの行楽、保養客に憩いとやすらぎを与えている。

湧出量 800ℓ/分

温 度 68℃

那須町の希少動物(昆虫)

モンシロチョウの仲間に、ヒメシロチョウという可憐なチョウがいるのだが、栃木県ではほぼ絶滅といわれている。

確かに、過去においては、那須町でもほとんどの地域で見られたのだが、最近は、まず目にすることができない。

事実、2004年から行われている那須町における動植物の実態調査でも、全域ではないが、現在まで見られていないので、絶滅したといえるのかも知れない。

那須町は、県内では自然豊かな地域であり、こん虫類も多く生息している。

特に、その種によっては、県内では那須町だけにと記録されているものもある。

従って、これらのこん虫は是非とも保全が必要であると思われるので、以下、それを述べてみたい。

チョウ目チョウ類では、チャマダラセセリ、ホシチャバネセセリ、クロシジミなど、環境省レッドリスト2000において、絶滅危惧Ⅰ類や同Ⅱ類に選定されている種の外に12種を挙げることができる。チョウ目ガ類では、クモオビナミシャク、クロヤナエミシャク、ヒメツバメエダシャク、ノコバアオシャク、ハネブサシャチホコ、ジョウザンヒトリ、アルプスギンウワバ、クモマウスグロヨトウ、シマケンモンなど、関東初記録、県内では那須町のみの記録、北限記録などの種の外に2種があげられる。

コウチョウ目では、スジタマムシ、ヒメビロウドカミキリ、アサカミキリ、ハヤシクビボソハムシ、ニセコヤツボシツツハムシ、ニッコウルリハムシなど、準絶滅危惧種や情報不足の種、県内では那須町のみの記録、また、日本全国的にめずらしい種などの外に25種ほど挙げることができ、それらも分布上希少で貴重な種とされている。

カメムシ目では、ブチヒゲツノヘリカメムシ、ヒメカメムシの絶滅危惧種や那須町が県内唯一の産地になっている種の外に3種が挙げられている。

以上は、栃木県自然環境基礎調査による「とちぎの昆虫」から引用したものであるが、このように珍種や希少種が多いのが那須町の特色であり、今後の保全への努力が是非必要であるといえるだろう。

那須町の希少植物

那須町の希少植物については、①2005「レッドデータブックとちぎ」(栃木県林務部自然環境課2005年3月発行)に記載されている群落や維管束植物(シダ植物・種子植物)についての概要 ②1976「那須町誌」(那須町発行)記載後に激減した維管束植物について ③近年一部産地(生育地)で生育の確認ができない維管束植物について記すことにする。

(1)2005「レッドデータブックとちぎ」による町内に関わるレッドリストの概要

那須岳山腹のブナ 那須岳のウラジロモミ ダケカンバ ハイマツ 茶臼岳のガンコウラン サラサドウダン ヒメイワカガミ ウラジロタデ 大倉山のシロヤシオ 小深堀のススキ ヌマガヤ サクラソウ 伊王野の霞岡温泉神社のアカガシ 奥那須地域の自然植生など各群落、またムラサキセンブリ キキョウ サギソウ ジュンサイアサマフウロ ミチノクヤマタバコ ヒメザゼンソウ ナガミノツルキケマン ホソバノツルリンドウ・・・・など127種の維管束植物が絶滅危惧、局地分布、環境悪化、環境省掲載種或いは減少などカテゴリー順に、併せて生育環境や生存への脅威など町内希少植物について詳細に記されている。

さらに、1969年来の調査から那須山塊域のイワヒバ コタニワタリ キタゴヨウマツ ベニサラサドウダン ユキワリソウ イワインチン ウスユキソウ 山麓域のクルマユリ タマガワホトトギス ヤマオダマキ レンゲショウマ クリンソウ ハクサンオミナエシ平地・丘陵地のアヤメ クモキリソウ サイハイラン ウスバサイシン トモエソウ イワタバコ バアソブ マルバダケブキ キッコウハグマ 湿地・池・沼のコガマヒルムシロ エゾミソハギ サワギキョウも町内希少植物である。(18科26種)

(2)1976「那須町誌」(那須町発行)記載後に激減した希少種について(1に重複する種もある)

生育環境の追跡調査から湿地開発、森林伐採、土地造成、管理放棄、園芸採取などが主な原因で激減した。コガマ ウラシマソウ ザゼンソウ ヒメザゼンソウ カタクリ   ヤブカンゾウ ノカンゾウ ヤマユリ コオニユリ ワニグチソウ バイケイソウ キツネノカミソリ ノハナショウブアヤメ エビネ ギンラン ササバギンラン ユウシュンラン サイハイラン シュンラン カキラン ツチアケビ オニノヤガラ ノビネチドリ オオミズトンボ サギソウ ミズトンボ ジガバチソウ クモキリソウ ハクサンチドリ トキソウ クヌギ カシワ カワラナデシコ ヤマトリカブト カザグルマ オキナグサ イカリソウ コブシ モウセンゴケ ウメバチソウ アサマフウロ ヌルデ ツリバナ ヤマモミジ イタヤメイゲツ ナツツバキ エイザンスミレ ヤマボウシ リョウブ レンゲツツジ トウゴクミツバツツジ サラサドウダン アブラツツジ クリンソウ サクラソウ リンドウ オミナエシ マツムシソウ フクシマシャジン ホタルブクロ バアソブ サワギキョウ キキョウである。ナスヒオウギアヤメは一ツ樅の水田用水路に一部生育しているが保護もされている。(28科65種)

(3) 近年一部産地(生育地)で生育の確認ができない種について(①に重複する種もある)

サワラン(北条) トキソウモウセンゴケ(一ツ樅) スズランツレサギソウ ウスバサイシン ケナシベニバナヤマシャクヤク(二枚橋~柏沼) オキナグサ(蕪中)などである。

炭化木

那須岳の噴火の遺産は町内各地に見受けられる。流山(ながれやま)をはじめとして、西側斜面に今なお噴煙を上げる火口の形成や高山植物の植生などへの影響も噴火の産物である。

大沢地区には、噴火によって炭化した植物 (木)を見ることができる。 県道那須西郷線の白戸川を越え、大沢小学校との中間の左側に地層の露出した箇所である。 この地層の中に黒い炭化物が混入している。 これが炭化木である。

那須岳の噴火により、燃焼した植物が炭と化し、その上に火山灰などが堆積し、現在のような地勢を形作っていったものであろう。

那須岳の噴火の記録は、古くは大同年間(806−810)の噴火が伝えられているが、もっとも大きなものは応永17年(1410)の記録である。噴石や埋没(山崩れ)による死者は180余名を数え、牛馬にも多数の被害があったという。(この時期の噴火は応永11年、同15年にもあったという)この時の噴火と埋没により炭化木が形成された可能性は高い。

それ以降は那須岳の西側を中心に小規模のガス爆発による降灰が記録されている。

那須岳とともに歩んできた那須町は、那須岳の産出する自然など多くの恩恵を受けてきたが、炭化木のように被害を物語る遺物も多いのである。

那須の名木

那須町は茶臼岳をはじめ那須連山から大田原市境までの環境の違いから、 多種多様の樹木が生育している。 那須の名木は、 そんな環境に適した条件の中で選定されたものである。

那須の名木の一覧(PDF)はこちらから
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